+ 20ヤード伸ばせる!「飛距離と安定性に最も影響するヘッドの選択法」
<ドライバー編>
飛距離と正確性に最も影響するのはスマッシュファクター(ミート率:「ボール初速 ÷ ヘッドスピード」同じヘッドスピード(HS)で、どれだけ速くボールを飛び出させるか )です。
ミート率を上げるためには、ヘッドの数値的構造(スペック)から、ヘッドが動こうとする方向(ベクトル)やヘッドの回転特性(慣性モーメント)などが自分にピッタリ合っているヘッドを選ぶことが重要です。
いろいろなヘッドの種類がありますが、それぞれのゴルファーとの相性が合うヘッドは非常に限られています。(だから多くの種類があるのです。)
★ 飛ばすためのヘッド選びの知識 (数値条件) ★
※ヘッドスピードが普通~遅い人が飛ばす究極の方法(逆転の発想)とは?
⇒低重心のヘッドでリアルロフトが大きい(+1°~+1.4°)と飛びます!
ただし、芯に当てるることが絶対条件、外すと不安定な球が出たりします。
また低重心でロフトが小さい場合はドロップ球になり全く飛ばないです。
※既製品ヘッドの殆どはこの方法で飛ぶ!と宣伝しているのです。
飛ぶヘッドを選ぶために、以下のスペックは最低限確認しておきたい基礎です。
1.重心高1: GH1(平均:31mm):(打ち出し角度とバックスピン量に影響する)
★★これは飛ぶドライバーの最重要事項です!!
★重心高1が短い(低重心)=重心より上に当たりやすい
◎ヘッドスピードが速い人が飛ぶ(✖ 遅い人には不向き)
・高打ち出し(インパクトでロフトが寝る)
・低スピン(ギア効果:フェースが上方向に回転するからバックスピンが少なくなる)
・重心の高さから上にスペース(重心高2)が多いほど飛ばせる(平均22mm)
✖ ヘッドスピードが遅いと球が上がらず余計に飛ばなくなる!
★重心高1が長い(高重心)=重心より下に当たりやすい
◎ヘッドスピードが遅い人が飛ぶ(✖ 速い人には不向き)
・低打ち出し(インパクトでロフトが立つ)
・高スピン(ギア効果:フェースが下方向に回転するからバックスピンが多くなる)
・力がなくても飛ばせる!
・重心の高さから上にスペース(重心高2)が少ないほど飛ばせる(平均22mm)
✖ ヘッドスピードが速い人が打つと吹け上がって飛距離が出ない!
2.重心高2 : GH2(平均:22mm):(重心高2=フェース高ー重心高)
※有効打点距離ともいいます。(gravity height 2)
これはフェース重心よりも上にあるスペースのことです。
3.低重心率 : (平均:64%):(低重心率=重心高 ÷ フェース高 × 100)
これは弾道の高さや飛び方(放物線)に最も影響する。
低重心率が低いほど低スピン高弾道の打球が出やすく、
逆に低重心率が高いほど高スピン低弾道の打球が出やすくなります。
ヘッドスピードが速い人⇒ 63%台以下(低重心)が必須!
ヘッドスピードが遅い人⇒ 65%台以上(高重心)が必須!
4.重心距離:(フェースの開閉に影響=スイングが大きく変わる)
球が捕まりにくい方やスライス&右にプッシュアウトが多い方は、ヘッドが返り易い「36mm以下」の重心距離が短めが適性です。また、アイアンと同じような感覚でスイングをしたい場合は、使用しているアイアンに近い、もしくは更に短い重心距離のものを選ぶことが鉄則です。
ある程度、力尽く(アームターン)でフェースを返したりフェースをシャーローにあげてシャローに戻すスイングができる方やパワーのある方はヘッドが当たり負けしにくい「38mm以上」の長めの重心距離のヘッドを使用することで飛距離を伸ばすことが可能になります。ただし、方向性は犠牲になります。(右に出やすい)
5.重心深度(平均36.5mm):(球の上がりやすさに影響する=打ち出し角度とバックスピン量が変わる)
・35mm以下(中級~上級者向け)の浅重心ヘッドは、ヘッドスピードが44m/s以上でないと、球が上がりにくく飛距離が落ちます。また、スイートスポットが小さくなるので芯を外さないスイングを要求されます
・36mm以上(初級者向け)の重心深度が深いヘッドは、ヘッドスピードが比較的遅い人向け。球が上がりやすく直進性も良くなります。逆にヘッドスピードが速いと異常に高弾道になり吹け上がる球になります。
6.重心角:(球の捕まりに影響する=フェースの返る角度が変わる)
スイングなどの影響などで球を捕まえづらかったりスライス気味だったり球筋が右方向の人は「重心角」が大きいヘッド(21度以上)を選ぶと良いでしょう。
ヘッドスピードが速い方は引っ掛けやすくなるので重心角は小さいもの(20度以下)が良い。操作性も良くなります。
★「捕まりとミート率の良いヘッド」 ★
クラブヘッドを選択する上で理解しなければならないことに「捕まり」があります。
ギア効果の対処法やバルジ・ロール、フェースがディープ・シャローなどいろいろな工夫が施されたヘッドがあり、縦方向のスピン量に変化を与える設計をされている物もありますが、まず、ヘッド選びで重要な捕まるヘッドとはどういうものかを説明します。
★ 捕まるヘッド
スペック: 重心距離が短い(36mm以下) / 重心深度が深い=重心角が大きい(21°以上)
特徴:フェースの開閉がし易く早い。自動的にフェースターンしてくれる。
ヘッドスピードが上がりにくいので、アームターンでヘッドスピードを上げる。
⇒ フェースターン・アームローテーションがし易い(ヘッドを操作し易い)。
⇒ シャフトはハイトルクを選択し捻れ戻りを上手く利用すれば飛ぶ (遊びを多く)。
※ヘッドスピードが早い人(HS45以上)は若干ロートルクのほうが良い。
★ 捕まらないヘッド
スペック: 重心距離が長い(38mm以上) / 重心深度が浅い=重心角が小さい(19°以下)
特徴:フェースの開閉がしにくい。フェースターンを故意にしないと捕まらない。
⇒ フェースターンやアームローテーションが難しい(上手くできればぶっ飛ぶ)。
⇒ シャフトは基本的にロートルクを選択(遊びは少なめ)。
※ヘッドスピードが遅い人(HS43以下)は硬め目のハイトルクが良い。
■ ミート率を良くする「捕まり」とは
捕まるとは 、インパクトの前まで開いて降りてきたクラブフェースがボールを包み込むように閉じながら(ヘッドの重心を軸にヘッドが回転して)ボールを捕らえること。フェース面にボールがシッカリ(長く)乗ることでヘッドの運動エネルギーがボールに効率よく伝達(エネルギが保存)され、フェースを閉じながらボールが強く放たれる状態を「捕まり」が良いといいます。
捕まりはミート率(スマッシュファクター)を良くし飛距離を伸ばす要因なのです。
■ 捕まり具合の影響
ボールが真っ直ぐ飛ばない理由をシャフトのせいだと考えてリシャフトをされる方も多いですが、実はボールが真っ直ぐ飛ばないのはシャフトよりもヘッドの影響の方が大きいのです。
事実、ドライバーで右にミスする方は圧倒的に多いですが、ティーショットでフェアウェイウッドを持った時に右にミスする方は少ないです。むしろフェアウェイウッドでは左へのミスを警戒する
方が多いはずです。
多くの場合、問題はシャフトではなくヘッドにあり、フェアウェイウッドの方がヘッドが小さいため、重心距離が短く、ヘッドが左にフェースターンしやすいため、総じて球の捕まりが良いのです。
また、ロングアイアンではグリーンの右にミスする方が圧倒的に多く、ショートアイアンではグリーンの左にミスする方が圧倒的に多いです。
アイアンのシャフトは通常は全部同じものが付いているはずですので、多くの場合、問題はシャフトではなくヘッドにあります。
ロングアイアンは重心角が小さいため総じて球の捕まりが悪く、ショートアイアンは重心角が大きいため総じて球の捕まりが良いのです。
ゴルフクラブの球の捕まりを左右する数値は、重心角、重心距離、フェース角、ライ角、フェースプログレッション、ヘッド重量、重心深度と全部で7つあります。
ただし、影響が大きいのは1〜4、それ以外については比較的影響が少ないです。
| | 捕まりが良い | 捕まりが悪い |
1. | 重心距離 | Dr. | 短い(36mm以下) | 長い(38mm以上) |
Iron |
2. | 重心角 | Dr. | 大きい(21°以上) | 小さい(19°以下) |
Iron | 大きい(11°以上) | 小さい(9°以下) |
3. | ヘッド重量 | Dr. | 軽い(194g以下) | 重い(200g以上) |
Iron | 軽い(#5I:245g) | 重い(#5I:252g) |
4. | 重心深度 | Dr. | 深い | 浅い |
Iron |
5. | フェース角 | Dr. | フックフェース | オープンフェース |
Iron | 被る(ライ角に依存する) | 開く(ライ角に依存する) |
6. | ライ角 | Dr. | アップライト(60°より) | フラット(59°より) |
Iron | アップライト(適正値より) | フラット(適正値より) |
7. | フェース プログレッション | Dr. | 小さい(シャフトに近い) | 大きい(シャフトから遠い) |
Iron | 小さい(グースが強い) | 大きい(グースが弱い) |
※ヘッドスペックは、市販クラブでは商品ごとに違っており多種多様で同じものは作られていません。
市販クラブは地クラブと比べ、ヘッドの精度が極端に低く同じ商品でも数値のバラつきが非常に大きいのが現状です。
★★ 特に影響が大きのが重心距離と重心角 ★ ★
ドライバーのヘッドが大型化しており、重心距離が長くなる傾向にあります。
しかし、ドライバーの重心距離とアイアンの重心距離は可能な限り同じにしなければ、アイアンショットからドライバーショットまで全てのショットが同じように良くなることは難しいのです。
ドライバーからアイアンまで重心距離を揃えることが理想ですが、アイアンよりドライバーの重心距離が短くなる方が、長くなるより まだましです。
最低でもアイアンの重心距離よりドライバーの重心距離を4mm以内に収めることが必要です。
捕まりぐあいの揃ったドライバーヘッド、FWヘッド、ユーティリティーヘッド、アイアンヘッドでキャディバッグの中のクラブを統一することが理想です。スコアが劇的に改善されるはずです。
■ 重心距離の長い大型ヘッドのメリット・デメリット
重心距離:38mm以上 体積:450cc以上のデカヘッド
1.メリット
・意図的にフェースローテーションを加える必要がなく、フェースを閉じたままテークバックし、コックは一切なしで、そのまま振りぬくスイングでOK。
・当たり負けしない。慣性モーメントが大きいためヘッドの回転はしづらいが、上手く回転させると大きなエネルギーが出る。このため、慣性モーメントが小さいヘッドよりも当たり負けしない。インパクト時のエネルギー効率が高くなる分だけ、ボール初速が上がり、それが飛距離アップに繋がる。
2.デメリット
・掴まり難い。
・フェースローテションしにくい。気を抜くと右へプッシュアウトする。
・ボールを左右にコントロールし難い。スイング軌道を外すと修正が利かない。
・ヘッドが大きく下がり、トウダウンが激しくなる。(芯に当てにくくなる)
・トウダウンが大きく、遠心力も影響して、ハンズアップになり、自然とストロンググリップになることからコックの使い方が難しくなる。
・空気抵抗(摩擦)が大きくなりヘッドが降りにくくなる。
・アイアンも同じような重心距離の長い大型ヘッドを使わないと共倒れになる。
結論:
・ヘッドスピードが早い人は、自分のスイングにクラブを合せた方がよい。(短重心距離)
・そうでない人が飛距離アップを狙うならば、クラブに自分を合わせる。(長重心距離)
・重心距離が長い大型ヘッドを使いこなせば50・60歳を越えても飛距離を伸ばすことは可能です。
ということで、可能、可能です・・・、がリスクは大です。次をお読みください。
★ ドライバーの 大型ヘッドに長尺シャフトは麻薬 ?★
とにかく飛距離を伸ばしたい!。
飛距離の魅力はゴルファーにとって一番の願望ですが、それに目をつけてとにかく
「このドライバーは飛ぶ!」という宣伝文句が多すぎます。
ここには大きな落とし穴があります。
特に大型ヘッド(460CC)にして重心距離を伸ばしてヘッドの慣性モーメントを大きくすることでヘッドが当たり負けしないとういう設計理論で作られたドライバーは麻薬のようなものです。
最初の少しの間は良い結果が出たとしても段々とスイングを壊し、アイアンのスイングにも影響し始めます。 そうなると更に悩んできて最初調子が良かった肝心のドライバーまでダメになってくるのです。
だけど魅力的な謳文句で買ったヘッドは捨てたくないのでなんとかしたいと、次の手はリシャフトと考えます。
これがリシャフトする方の最も典型的な流れです。
この麻薬から抜け出すのはヘッドを変えるしか方法はありません。
★ ライ角のセッティング★
★ ライ角はインパクトでフェースが飛球線に向くようにすることが目的 ★
※注意! ライ角調整は熟練した技術者でなければ正しく合わせることができません。
ゴルフ5のような量販店の工房や技術的に未熟な工房ではライ角に関する正しい知識を理解しておらず調整方法そのものも間違っている場合が多いです。特にGOLF5のライ角調整は知識がない従業員がフィッターと名乗って調整をしています。事実、GOLF5で調整をされたクラブで大きな歪が生じたりヘッドが壊された状態のものが多く持ち込まれています。
理想的なライ角調整とは、アドレスで正しい前傾姿勢(角度)が作れるように、クラブの長さとヘッドのライ角の両方で合わせるべきです。そうすれば正しい前傾姿勢と手のポジションが正しい位置にセットできるから自然と正しいスイングができていくのです。
また、アイアンのライ角は、インパクト時のフェース面が飛球線に向いてソールが滑らかに抜けるように調整しなければ行けません。そのためにヘッドごとのソールの形状に応じてバンス角に対応して調整することが重要です。
ウッドやユーティリティーは、そのヘッドの設計上の都合などでフェースアングルを合わせるためにライ角度を設定しています。なので必ずしも、インパクトの瞬間にソールが水平になるようなものを選ぶ必要はありません。ウッドやユーティリティーのライ角は球の捕まりに影響します。
■ アイアンのライ角が合っていないことによる弊害
アイアンのライ角が合っていないことの弊害は、大きく分けて3つあります。
1.1つ目の弊害は、ボールが構えている方向とは違う方向に飛んでしまうことです。
・(適正なライ角よりも)ライ角がフラットすぎる状態では、ボールは右に出ます。
・(適正なライ角よりも)ライ角がアップライトすぎると、ボールは左に出ます。
フェースの向きがどのぐらいずれるかは、次の計算式で計算できます。
(フェースの向きがずれる角度)=(適正なライ角からずれている角度)×(ロフト角)÷90度この弊害の影響は、ロフト角の大きなクラブほど顕著です。フェースの向きがずれる角度はロフト角に比例します。
よって、アイアンのライ角はウッドのライ角よりも、はるかに重要であり、ショートアイアンやウェッジで最も重要です。
2.2つ目の弊害は、実質的な重心高(芯)がずれてしまうことです。
3.3つ目の弊害は、アドレスで正しく構えられず歪んでしまうことです。
ライ角は、ご自分の身長とクラブの長さに合わせ、フェースが目標を向くように調整すべきです。
■ 静的なライ角はプレイヤーの手の高さで決まります。
※アドレスとインパクトで、手の高さが大きく異なる方の場合にはインパクトの手の高さで決めます。
・手の高さが高い人は、ライ角がアップライトなアイアンが適します。
・手の高さが低い人は、ライ角がフラットなアイアンが適します。
腕の長さにもよりますが、一般的に、身長が高いプレイヤーは、手の高さが高い傾向にあり、身長が低いプレイヤーは、手の高さが低い傾向にあります。
身長が高く、手の高さも高いプレイヤーが、自分に合わないフラットなライ角のアイアンを持って、その合わないライ角に無理やり身体を合わせてアドレスすると、不自然にハンドダウンしたアドレスになってしまいます。
また、身長が低く、手の高さも低いプレイヤーが、自分に合わないアップライトなライ角のアイアンを持って、その合わないライ角に無理やり身体を合わせてアドレスすると、不自然にハンドアップしたアドレスになってしまいます。
■ 動的ライ角フィッティング
自分に合ったライ角を見つける最適な方法は、アイアンのソールに紙テープや黒のビニールテープを張り、練習場で数回球を打ち、ソールのどの部分が一番こすれているかを見る方法があります。
この方法を「動的ライ角フィッティング」と言います。
ご自分の身長とクラブの長さに合わせて調整されたライ角で試打したとき、ソールのテープが、真ん中辺りを中心にして、ヒール側からトゥ側まで左右対称にこすれていれば、そのアイアンのライ角は正しいといえます。
ヒール側が多くこすれていれば、そのアイアンのライ角は、アップライトすぎます。
トゥ側が多くこすれていれば、そのアイアンのライ角は、フラットすぎます。
※動的ライ角フッティンクの注意点: 現状のスイングにライ角を合わせる方法では、常に理想的な前傾姿勢・手の前後位置を同じに保てることが条件となります。
これは全てのクラブ調整に言えることですが、スイングが完璧でなければ、個々の体格に合うように完全調整されたクラブにスイングを合わせることです。完全に調整されたクラブは振るたびにスイングが正しくなっていきます。
スイングが完璧ならばクラブをスイングに合わせるということになりますが、スイングが完璧ということはそもそもクラブが合っているということですがら調整することはないでしょう。
■ アイアンのライ角調整
通常は、アイアンのライ角は、自分の身長とクラブの長さの適正値で合わせます。
しかし、少し問題があります。
「ショートアイアンは、つかまりが良く左に行きやすい」ことです。
そのため、9番やPWは8番よりライ角を若干フラットにして、左に行きにくくすればよい結果になることもあります。
また、残念ながら、市販のゴルフクラブの多くは、ライ角の数値が0.5 度刻みを基本として正しくはフローしていないので、確認が必要です。
もし、ヘッドの主素材が「軟鉄」であれば、ライ角を調整することができます。
(ソフトステンレスでも少しの調整であれば、可能です)これ以外の素材では、ライ角調整はできないと考えてください。
従って、アイアンは「軟鉄」を購入されることをお勧めします。
ただし、軟鉄であってもライ角の調整は±1度程度と考えてください。それ以上の調整をすると、ネックが折れる場合があります。
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